なぜストレスがあると自律神経が乱れるのか

頭痛、首こり、背中の痛み、手足の冷え、胃腸障害、めまい、耳鳴り、動悸、パニックなどの自律神経失調症状の原因には4つのストレスがあることは理解いただけましたでしょうか。そして、自律神経失調症が長く続くとうつになるということでしたね。
 
 

自律神経失調症 ⇨ うつ症状 ⇨ 鬱病 ⇨ 重度の鬱病

 
 
 では、なぜストレスがあると自律神経が乱れるのでしょうか?
これを知ることがうつ克服の第一歩となります。
 
ストレス時には交感神経が過剰に働きます。
これが自律神経の乱れを引き起こし、うつの入り口になります。その後うつになると、交感神経も働けなくなってしまうのですが、最初の乱れは必ず交感神経が過剰に働くようになってるのです。これはとても重要なポイントです。
 
なぜストレス時には過剰に交感神経が働くのかというと、人間も含めて全ての生物はストレス=生命の危機と無意識に捉えるからです。
 
サバンナの真ん中にいるシマウマがライオンなどの脅威(ストレス)に遭遇している時に生命の危機から逃れるためには走って逃げる必要があります。その時、体は緊張し、筋肉を動かすためにたくさんの酸素と糖は必要になり血液によって運ばれますが、心臓の鼓動を早くして、つまり血圧を上げて、筋肉に血液を運びます。これは全て交感神経の働きによるものです。
生物学上、ストレスがかかると自律神経の交感神経が過剰に働くようになっており、同時に副交感神経が働かなくなります。これは「ストレス反応」と呼ばれるもので、現代の日本人は余程のことがない限り生命の危機を感じるストレスはありませんが、危機を感じるまでもないストレスについても動物的本能から自動的に交感神経を過剰に働かせてしまうのです。
 
 
 
 
さて、ちょっと話変わりまして、
 
厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と9年間で2.4倍に増加しました。下のグラフは、医療機関にかかっている患者数の統計データですが、平成26年は392万人、平成29年では400万人を超えています。うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。また、令和2年のコロナによる社会変化、社会ストレスによってますます精神疾患を患う方は増えていくことでしょう。
 

 厚生労働省 みんなのヘルスケアより抜粋
 
 

近年、整形外科でも原因のわからない腰痛もストレスと言われるようになりました。腰痛の治療に認知行動療法という心理系のアプローチを行い効果を上げています。
不眠症、めまい、耳鳴り、頭痛、食欲不振、動悸、息苦しさ、胃腸障害、疲れが取れない、体が硬くなるなど自律神経失調症の時は主に体に症状が出ます。
一方、うつ病になるとこの体の反応に加えて心に症状が現れます。
やる気が起こらない、喜べない、笑えない、不安になる、集中力や思考力、記憶力がなくなる、死にたくなる、どうでもよくなるといった症状がこれにあたります。
 
人間はエネルギーがなければ働けません。自律神経失調症の時には交感神経が過剰に働くためにエネルギーを非常に使います。使い切ってしまうとうつになるのです。まずはエネルギーを貯めることから始めなければいけません。また回復してきてもエネルギーを使い切らないようにしなければいけません。エネルギーを使い切ってしまう原因は先ほどの4つのストレスです。
 
 症状回復のためには4つのストレスの分類が不可欠となります。
何故なら、うつ病や自律神経失調症の原因であるストレスを確実に減らしていくには、どんなストレスが、どれくらいあるのかを把握しなければならないのです。
 
 
例えば、精神的ストレスが少なく、構造的ストレスや化学的ストレスが多くて自律神経失調症やうつ病になっている場合に、一生懸命に精神的ストレスをなくそうとして、セラピーを受けて生き方を変えようとしても、それは無駄になってしまうのです。
 
この場合、原因の多くは精神的ストレスではなく、構造的ストレスや化学的ストレスなのですから、うつ病や自律神経失調症を治すには、構造的ストレスや化学的ストレスのを減らさなくてはいけないのですね。
 
 
ストレスの撃退にはすべてのストレスが絡んでいることを知り、優先順位を見極めることが重要です。

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